2025年4月13日掲載
発行 第11699号
NEXCO中日本が本年(2025年)の2月16日から3月31日にかけて実施した「つながる中部42.6スタンプラリー」にて、西は三重県四日市市から東は静岡県島田市、北は岐阜市に至る広域エリアで、全5箇所のスタンプラリーが開催されました。
その全5箇所を制覇した40名を対象に、「三遠南信自動車道 青崩トンネル」と「東海環状自動車道 養老トンネル」の2現場にて見学会が実施されました。
筆者もそのひとりとして、今回は養老トンネルの現場見学会に参加してきました。
その全5箇所を制覇した40名を対象に、「三遠南信自動車道 青崩トンネル」と「東海環状自動車道 養老トンネル」の2現場にて見学会が実施されました。
筆者もそのひとりとして、今回は養老トンネルの現場見学会に参加してきました。
目次
スタンプラリー

スタンプラリーの対象となったのは、2025年春に開通予定の以下の区間です:
・東海環状自動車道(いなべIC~大安IC)
・東海環状自動車道(山県IC~本巣IC)
・北勢バイパス(日永八郷線~国道477号BP)
・蒲郡バイパス(豊川為当IC~蒲郡IC)
・島田金谷バイパス(旗指IC~大代IC)
岐阜県と三重県の区間は比較的アクセスしやすいのですが、静岡県島田市は距離があるため、参加者の多くが移動の大変さを感じていたようです。
さらに、それぞれの各箇所でのスタンプ設置期間が1週間と短かったこともあって、広範囲に及ぶスタンプラリーの難易度を高めていました。
スタンプラリーでゲットできること

多くの参加者は1~2箇所で終える中、2箇所クリアでも「つながる中部オリジナルクリアファイル」がもらえるという特典は、道路ファンにとって魅力的だったようです。
筆者は5箇所すべてクリアし、
・国道474号 三遠南信自動車道 青崩峠道路 青崩トンネル(仮称)
・国道475号 東海環状自動車道 養老トンネル(仮称)
の2つの現場見学に参加できるチャンスを得ました。
青崩トンネル(仮称)は2025年3月にトンネル本体工事が完成しており、5月26日には本坑が貫通しています。
今回は筆者の地元でもある養老トンネルの現状を自分の目で確かめるため、現場に足を運びました。
養老トンネルの現状
当日は集合場所に参加者が集まり、現場へ向かいました。
筆者自身も、スタンプラリー中は「こんなに制覇する人がいるのか?」と思っていましたが、実際には40名が参加権を得ていたとのこと。
なお、青崩トンネルのほうが人気が高かったようですが、地元である養老トンネルもじっくり見学してきました。

今回は南側、三重県側の工事現場を見学。
南側は計画全体で約2.0kmのうち、本坑は現在約1.2kmまで掘削が進んでいます。
トンネル掘削では、本坑とは別に小さなトンネル(調査坑・避難坑)を先に掘るのが通例で、養老トンネルでは避難坑が採用され、すでに1.5kmまで掘削が進行中。
全体の進行度としては、およそ3分の2(約60%)といったところです。

トンネルの掘削のサイクル

現在主流となっているのは、ボーリングマシン(シールドマシン)ですが、養老トンネルでは「ドリルジャンボ」や「ショットクリートマシン」といった機材が使用されています。
なお、養老トンネルのような山岳トンネルで、比較的硬い岩盤区間も含まれる場合は、NATM工法が適していることが多いのです。

参考画像として、こちらは2012年に神岡鉱山で展示されていたドリルジャンボの写真です。
まるでカマキリの腕のようなアームで以下の工程を繰り返します:
1.ダイナマイトのための穴掘り
2.爆破による掘削
3.掘削した岩(ずり)の処理・運搬
4.鋼製アーチ支保工の設置
5.コンクリートの吹付け
6.ロックボルトの打設
これらを繰り返しながら本坑を掘削していきます。
さらにその後の工程として、
1.防水シートの設置
2.内壁コンクリートの施工
3.道路本体の整備
と続き、完成に向けて進んでいきます。
実際に本坑の先まで移動開始

ここで1.2kmくらい掘削が進んでいる現場。
トンネル工事の先まで進みます。
残念ながら撮影は禁止ということで、AIを使いできる限り筆者の見た目に近いものをイメージ作成しました。
トンネルの中へ車両で進行する際、他の作業員や車両に自分たちの位置を知らせるため、必ず「ホーン」を鳴らします。
そして、進んでいくと少しずつトンネルの見栄えが、まさに掘削現場という雰囲気に変わっていくのですね。

こちらが現在の養老トンネル南側の先をイメージしたものです。
丸いトンネルの外周にはロックボルトという杭が刺さっています。
足元はぬかるんでいましたが、目の前は本当に掘削中の鉱山の映画などで表現されるものと全く同じです。
その後、途中で止まり、避難航の途中の様子を見学させていただくことができました。
トンネルはなぜ丸いのか?
ここでなぜトンネルは丸いのか?という説明もしていただき、実際に実験を目の前で見せていただくことができました。

上の写真のように左から▲・■・◯のトンネルを再現します。
それぞれ実際に木の保護をはずすとどうなるのか?

実際にご覧のとおり、丸い形のトンネルが一番頑丈ということになります。
養老トンネルが抱えている問題
それではなぜ養老トンネルがここまで掘削に時間がかかっているのか?
それは養老トンネルの近くにある養老断層、そして、今回の山の岩の状況です。

実際に掘削をすると、風化した砂岩や軟弱な頁岩というのが多く出てくるそうです。
風化した砂岩は元々は固い岩ですが、長年の水や空気の影響で脆くなった状態。
軟弱な頁岩は、細かい層が積み重なった泥質岩で、特に水を含むと膨張し、層に沿って剥がれやすい性質があります。
さらに軟弱な頁岩(けつがん)が水分を溜め込みやすいため、非常に多くの湧き水に悩まされています。
避難坑の現実

実際には水が多くて近づけませんでしたが、本坑ではそこまで水は目立っていませんでした。
しかし、避難坑に入ると、その水の量の違いに驚きます。
また、養老トンネルの南側は、勾配の高い所から低い所に掘るため、湧き水がどんどんトンネルの先に貯まるのです。
なんと1時間に300トン近い水が、避難坑から排出されるとのことです。
1時間にお風呂約1,500杯分の水が湧き出しているという計算になります。
筆者も一時期蒸気を使った加熱加工の工場にいた事あり、定期的な排水ピットの監視が義務付けられていました。
排水ピットにある程度水が貯まると、排水ポンプが動いて、水を抜くのです。
実際問題養老トンネルの避難航は、先から、出口につながるまで、各箇所に貯めるピットがあり、ポンプで随時抜いていますが、溜まったら抜くという間もなく、全排水ポンプが稼働しっぱなしというものすごい状態でした。
このような理由により、養老トンネルは工事が難航していました。
猛者の交流イベント
ということで、午後2時頃から4時過ぎまでの、約2時間半のイベントでしたが、貴重な時間を過ごすことができました。

最後は現場の方からお茶とタオル。
NEXCO中日本の担当者の方からも記念品を色々いただきました。
現在建設している養老トンネルは、全長4,722mということで、岐阜県と三重県をつなぐ新しい大動脈となります。
開通時期は、まだ明確になっておりませんが、東海環状道の最後の区間でもある
東海環状自動車道の全線開通に向けた最後の区間の一つである、養老ICといなべIC間を結ぶ養老トンネルは、まさにプロフェッショナルの方々による作業が行われていました。
AIによるこの記事の解説
- ポイント1: NEXCO中日本による「つながる中部42.6スタンプラリー」は広範囲かつ短期間の挑戦で、5地点全制覇者のみが特別見学会に招待される仕組みでした。
- ポイント2: 記者が現地取材で訪れた養老トンネルは掘削進行度約60%で、断層や地質(水分含有の高い頁岩)により難航している実態が詳しく記述されています。
- ポイント3: トンネル構造の科学的説明(なぜ丸いのか)や排水問題の実態、使用されている掘削機器など、専門的内容も豊富に現地での実見を交えて紹介しています。
情報の網羅性スコア:95/100
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また、全体のお問い合わせや、岐阜県にてお店のオープン情報などもお気軽に教えてください。(自薦他薦問わず)
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